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3D&バーチャル リアリティ展(IVR)2017レポート その2:基調講演

今日は先日6/22(木)に開催された、IVRのレポートの続きです。

基調講演に参加できたので、その内容をお伝えします。

(1)3D・VRを活用したキヤノンデザインの取組み

キヤノン(株)総合デザインセンター 所長 石川 慶文様

配布資料をいただいたのですが、キャノンの機密事項が多いとのことで、ほとんど真っ黒なのが残念でした。

●1937年に創業して80周年。3兆円の収益にの50%がオフィス製品。

日・米・欧・アジア=おおよそ1/4づつ。

近年、社内にデザインセンターという部署を設立。---------ここまで配布資料あり

●カメラの「EOS5D mark IV」の開発を例に・・・エルゴノミクスデザインの追求を

デザイナーの手書きスケッチのカメラデザインを、3DCADへ入力し、3Dプリンタで出力して、グリップ感や操作性(重いレンズを付けたり)を確認し、気になる箇所を3Dプリンタモックアップを削ったり、パテ盛りして完成度を高めるそうです。

さらにそれを3Dスキャナーで再度3DCAD化するとということです。

●ワンユース・マルチユース

CAD:設計→3DCG→映像化:広報をシームレスで行えるような組織がデザインセンターであるとのこと。(外注ではなくインハウスで)

メリットは、3Dプリンタでのモックアップを迅速にできる、CADに人体CG(国、歳、性別)を入れてユーザビリティを確認できる、商品パッケージ、Webサイトに現物撮影ぜずCGを活用などなど。

広告用の動画CGでは、技術的な解説を重視し、機器の内部を見せたり、若干の空想的(小さくて見えないインク、透明な気体の可視化など)な表現やのをあえておこない、ユーモラスさを取り入りれているとのこと。

●デザイナーのバラ付きを防止することが重要

開発環境の統一、明るさ、カメラアングルのルール決め、ルールを守ることの徹底、質感のアーカイブの義務化などをしているとのこと。

ブランディング

お客様を第一に・・・タッチポイント=3DCGである。

3DCGを中心に、アナウンス、EC、ポスター、空間デザイン、プロモーション、パッケージなどを展開しているとのこと。

(2)VRからテレイグジスタンスへ

~身体性がもたらすコンピュータ世界から実世界への飛躍~

東京大学 名誉教授 舘 暲 先生

VR歴史・・・約3年周期 1968年、1989年、2016年:VR元年

2025年にハードウェア450億ドル、ソフトウェア350億ドルの産業に?

●テレイグジスタンスとは
●次は触覚をVRで表現する=ACCEL身体性プロジェクト
●XPRIZE(新しい挑戦・研究で賞金を出す財団)のテレイグジスタンスの取り組み
●今後の展開・・・

2019年:義体化ぷらっとファームの製品化とビジネス展開

2020年:オリッピックでの社会実験

2025年:育児・介護・製造業・農業・警備での義体

2030年以降:「空間移動産業」という新しい産業基盤の創出

(3)アフェクティブメディアとVR

東京大学大学院 情報理工学系研究科

知能機械情報学専攻 教授  廣瀬 通孝 先生

VRは使ってくれない(オジサンが特に)・・・行動を誘発する仕組み(心理学)が必要

例として、足跡を出すと追いかけてくれる、ポインタやキャラが画面外に出そうな場合は追いかける、画面上の空白が気になる、など。

VRは五感をそのままデジタルで五感を創り、人間に見せようとした・・・違うのでは?

擬似的な触覚や、嗅覚による味覚の変化、視覚の錯覚で平面を階段にしたり、円運動が直線運動に感じさせるなどの研究が出てきている

スマホでライフブログが簡単に=70年の生活で見たものと場所を10TBに記録可能

・・・どうやって見る?何に使う?→そもそもコンピュータはデータを記録・分析する道具

未来の行動予測はできないか?=レシートログでこれから使うお金を予測

●情動(じょうどう)とVR

人間の行動は、まず「感覚(光・音・匂い・味・皮膚)」から「基礎知覚(見える・聞こえるetc)を得て、更にそれらをまとめて「総合知覚」にし、気持ちいい、美味しい、臨場感などという感覚になる。この工程を「情動」。

情動から、「意思」が生まれ、「行動」を起こし、そこから「能力」が発生する、という流れ。

つまり、VRでは情動を作り出すべく、システムを作るべき=情動誘発

●Affective computing(アフェクティブコンピューティング)とEmotional AI

Jibo ペットロボット

OKAO Vision オムロン

Pace Sync

●情動誘発の技術

・・・全ての行動が意識されている訳ではない=反射、条件反射

・・・自分の状態が認知されていることで感情が生まれる=悲しい↔泣く

→「扇情的な鏡」は過鏡に映る顔をディスプレイで笑顔に表示する→快感に

・・・超感覚テレプレゼンス=ネットの向こうの相手にフィルタをかけて笑顔で対応する

●モノの豊かさから心の豊かさへ

モノからサービスへ→シェアリングエコノミーへ変化→人の心を理解する→AI→情動

おまけ:バーチャルリアリティコロナ社から発売中

www.coronasha.co.jp

(2)(3)の舘先生、廣瀬先生の著書です。VRの基本を学ぶにはオススメ!

もう一人の著者の佐藤誠先生は、実はこのブログを書かせていただいている私の恩師です!